東京科学大学(旧・東京工業大学)英語の傾向と対策|6年分を数えてわかった「5割弱で受かる」試験

こんにちは、ふたがみです。

東京科学大(旧・東京工業大)の英語を調べていて、たぶんいちばん知りたいのに出てこない数字があります。

「何点取れば受かるのか」です。

いま検索して出てくる対策記事は、ほぼ全部が「配点は非公開」「合格最低点は不明」で止まっています。でも東京科学大は、学院ごとの合格者最低点を公式に公表しています。

先に答えを書きます。個別試験750点満点で、合格最低点は371点から422点。5割弱から5割6分です。

満点を取る試験ではありません。この記事では、6年分を1問ずつ数えたうえで、その5割台をどう作るかを書きます。

結論

東京科学大の英語は、ひとことで言うと「訳す試験」です。

13問のうち8問が記述で、そのうち6問が英語から日本語、または日本語から英語への訳出です。リスニングも自由英作文も文法の単独問題も図表も、6年間1問もありません。

そしてこの形が6年間1度も動いていません。だから失点は「読めなかった」ではなく、「訳し落とした」で起きます。

基本情報

項目 内容
試験時間 90分1
配点(英語) 150点(個別学力検査750点満点。数学300・物理150・化学150・英語150)1
共通テストの扱い 第1段階選抜のみに利用。合否判定の点数には加わりません1
大問構成 2題。長文2本、設問は6年とも13問(令和2年度のみ14問)
大問別の配点 問題冊子に明記されています。下表の6年のうち4年が大問I 80点・大問II 70点
設問別の配点 大学非公表
解答形式 記述中心。6年79設問のうち記述が49問(62%)
合格最低点(個別750点満点・令和8年度) 371〜422点(学院別。下表)2

「共通テストの結果が合否に加わるようになった」と書いている記事がありますが、そうではありません。共通テストは第1段階選抜、つまり足切りに使われます。合否を決めるのは個別試験の750点です。

先に、この記事が数えた6年を示しておきます。令和2・3・4・5・6・8年度です。以下の表はすべてこの6年で作っています。

そして東京科学大は珍しいことに、大問ごとの配点を問題冊子に書いています。

年度 大問I 大問II 合計
令2(2020) 80 70 150
令3(2021) 90 60 150
令4(2022) 85 65 150
令5(2023) 80 70 150
令6(2024) 80 70 150
令8(2026) 80 70 150

表の6年のうち、振れたのは令和3・4年度の2年だけです。残る4年はすべて80対70でした。時間配分はこの比で組めます。

何割取れば受かるのか

令和8年度(2026年度)の合格者の得点です。個別学力検査750点満点での数字です。

学院 最高点 最低点 最低点の得点率
情報理工学院 599 422 56.3%
理学院 636 406 54.1%
工学院 582 393 52.4%
物質理工学院 533 380 50.7%
環境・社会理工学院 538 378 50.4%
生命理工学院 526 371 49.5%

5割弱から5割6分です。最難関の理系大学として身構えると、この数字は意外に見えるかもしれません。

数学が300点、理科が300点あるので、英語150点は全体の20%です。数学と理科で作れる人は、英語で7割を狙う必要はありません。

ただし1つ注意があります。英語150点で13問なので、1問あたり11.5点です。マーク中心の私大なら1問落としても取り返せますが、この試験では記述1問の白紙が11点の穴になります。

目標は「完璧に訳す」ではありません。「白紙にしない」です。訳出の記述は部分点で拾える設計になっています。わからない部分があっても、わかるところまで日本語にして出してください。

大問別の特徴

記述が62%。選択のほうが少数派です

6年79設問の内訳です。

形式 設問数
日本語で書く(和文記述) 36
英語で書く(英文記述) 13
記号・番号を選ぶ 30

記述が49問、全体の62%です。

中身をもう一段分けると、こうなります。

型 設問数
和訳 24
和文英訳 13
内容説明 12
内容一致 12
内容選択 8
空所補充(文挿入) 7
その他 3

上位3つ、和訳・和文英訳・内容説明で49問。記述問題の中身とぴったり一致します。対策の主軸はここです。

読む量は4,282語。選択肢の英文が1,073語あります

6年の平均です。

大問I 大問II 合計
本文の語数 2,018語 1,191語 3,209語
設問側の英文(選択肢・設問文) 608語 465語 1,073語
読む総語数 2,626語 1,656語 4,282語

対策記事の多くは「3,000語超」と書きます。本文だけならそのとおりです。

でも実際に目で追うのは4,282語です。約25%が選択肢の英文だからです。本文の語数だけで時間配分を組むと、必ず足りなくなります。

年度別の本文語数はこうです。

年度 令2 令3 令4 令5 令6 令8
大問I 1,902 2,207 1,876 2,269 1,820 2,033
大問II 1,150 884 1,437 1,203 1,204 1,266

大問Iが1,820〜2,269語、大問IIが884〜1,437語。分量は安定しています。過去問で作った時間感覚がそのまま使えます。

4文に1文が30語以上です

1文平均 30語以上の文 40語以上の文
全12本の平均 22.4語 24.1% 8.1%

4文に1文が30語以上、12文に1文が40語以上。最長は66語でした。60語級の文が各年度に1〜2本入っています。

年度別では、令和8年度の大問Iが6年でいちばん重い英文でした。

年度・大問 1文平均 30語以上% 従属節3個以上の文
令8-I 28.2語 41.7% 12.5%
令2-I 25.7語 36.5% 2.7%
令5-I 23.9語 30.5% 2.1%
6年平均 22.4語 24.1% 4.4%

大学名が変わった年に、難度が上振れしています。ただし1年分だけでは、方針転換なのかたまたまなのかは判断できません。重い年に当たっても崩れないよう、60語級の文を切る練習は入れておいてください。

語注はほとんど付きません。それでも語彙の上限は切っていません

年度 令2 令3 令4 令5 令6 令8
語注の数 2 2 13 4 8 11

6年で合計40件。多い年でも13件です。しかも半分近くが人名・地名などの固有名詞で、専門語にはほとんど付きません。

一方で本文から200語を抜き出してレベルを調べると、いちばん多いのがB2(英検準1級のあたり)で49語、それより難しいC1以上が34語(17%)ありました。

難しい語は出るのに、助けは出ません。

理系の受験生は「専門用語を覚えなきゃ」と考えがちですが、方向が違います。求められているのは、注のない知らない語に当たっても止まらずに処理する力です。

和文英訳は1問20語前後です

英訳は6年で13問。模範解答の語数はこうでした。

年度 模範解答の語数
令2 24 / 26 / 27
令3 23 / 16
令4 21 / 17
令5 22 / 19
令6 17 / 14
令8 20 / 19

14語から27語、1問あたり20語前後です。長い英作文を書かせる試験ではありません。短い日本語を、破綻のない英語1〜2文に落とす精度が問われます。

テーマは「科学と社会の接点」に集中しています

年度 大問I 大問II
令2 食と人類・調理の進化史 脳と時間知覚
令3 紙の歴史と技術受容 市民科学
令4 言語とコミュニケーション 数学・パターン認識とAI
令5 色の標準化と食品産業 都市とアルゴリズム
令6 細胞と細胞説の成立 注意の中断と認知資源
令8 科学におけるバイアス 都市交通と移動の自由

技術史、科学方法論、情報技術と社会、認知科学。

理系単科の大学ですが、純粋な理科の英文ではありません。「科学がどう作られ、社会にどう受け入れられてきたか」を扱う人文寄りの英文が中心です。物理や化学の教科書的な英文を読む練習は、ここでは効きません。

90分をどう配るか

90分、150点、13問。配点比(80対70)と読む量の比(61対39)の中間を取った目安です。

時間 内訳
大問I 47分 本文の読み18分/記述4問20分/選択3問9分
大問II 38分 本文の読み13分/記述4問17分/選択2問8分
見直し 5分 訳し落としの確認

1問あたり6.9分という計算になります。

見直しの5分は、記述の訳し落としを探す時間に使ってください。1問11.5点なので、要素を1つ足せるかどうかが直接効きます。読み直して新しい発見を狙う時間ではありません。

対策の順序

第1段階:和訳の型を潰す(高3春から夏)

和訳24問が最大の枠です。処理の型は3つに収束します。節の入れ子を切り分けること、指示語の中身を埋めること、比喩を日本語に置き換えることの3つです。

そして大事なことが1つあります。訳出の失点は、英文が読めていないから起きるのではありません。読めているのに、日本語にする段階で要素を落とすから起きます。

だから読解の演習を増やしても、この失点は減りません。書いて、他人に採点してもらうしかありません。

到達基準: 30語級の1文を、要素を落とさず日本語にできること。

第2段階:和文英訳を20語で組む練習(高3夏)

模範解答は14語から27語。長く書く必要はありません。

到達基準: 20語前後の英語1〜2文を、文法的に破綻なく書けること。

第3段階:60語級の文を切る練習(高3秋)

4文に1文が30語以上、最長66語。この長さで崩れると段落ごと落とします。

並列で伸びた文は切って並べます。従属節が重なった文は入れ子をほどきます。詰まり方が違うので、分けて練習してください。

到達基準: 40語以上の文を、構造を書き出さずに読み通せること。

第4段階:科学と社会の話題に慣れる(高3秋)

技術史・科学方法論・情報技術と社会・認知科学。日本語の新書で構いません。話の型を知っているだけで読む速さが変わります。

第5段階:選択肢の英文を読む時間を計算に入れる(高3冬)

読む総語数4,282語のうち1,073語が選択肢と設問文です。過去問を解くときは、本文と選択肢を合わせた時間で測ってください。

語彙の覚え方に自信がなければ、英単語の覚え方を先に読んでみてください。

過去問を解いたあとの復習のやり方は、過去問分析のやり方にまとめました。訳し落としを「知識・読解・判断」に分けて言語化する型は、この試験と相性がいいです。

併願校に、この対策はどこまで流用できるか

東京科学大を受ける理系の人は、東北大を併せて受けることがあります。

東京科学大 東北大
試験時間 90分 100分
大問数 2題 4題
本文の総語数 3,209語 3,164語(令7)
設問数 13問 15〜16問
和文英訳 設問内に13問 独立した大問Ⅳ(毎年3問)
自由英作文 なし あり

本文の分量はほぼ同じです。3,209語と3,164語。だから和訳と内容説明の記述練習は、そのまま流用できます。

違いは3つあります。

1つ目。東北大には自由英作文があり、東京科学大にはありません。東北大の大問Ⅲには意見を書く設問が5年で5問あります。東京科学大の対策では、この枠が1問も準備できません。

2つ目。東北大には和文英訳の独立した大問があります。東京科学大の英訳13問は長文の設問に埋め込まれた形なので、まとまった和文を処理する練習は別に要ります。

3つ目。東京科学大は、本文3,209語のほかに選択肢と設問文の英文が1,073語あります。合わせて4,282語を90分で読みます。東北大は本文3,164語を100分です。本文の語数だけを見比べて「分量は同じ」と考えると、実際に目を通す量を読み違えます。

次に読むなら、この1本

東北大学 英語の傾向と対策

本文の分量がほぼ同じで、記述の練習は流用できます。ただし東北大にだけある大問が2つあります。併願するなら、どこを別枠で用意するかを先に決めてください。


この記事は令和8年度(2026年度)入試までの出題を分析しています。最終更新: 2026年9月

出典

  1. 試験時間90分・個別学力検査の科目別配点(英語150点/750点満点)・共通テストは第1段階選抜のみに利用。河合塾Kei-Net 大学検索システム「東京科学大学 入試科目」https://search.keinet.ne.jp/1150/general/exam_subject ↩
  2. 令和8年度 一般選抜(前期日程)合格者の学院別得点(個別学力検査750点満点)。東京科学大学「入試データ」https://admissions.isct.ac.jp/ja/013/undergraduate/data ↩

二神大輝|埼玉県内の学習塾で取締役・塾長。大学受験と総合型選抜の指導歴10年超。

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