過去問分析のやり方|早稲田・国語を160問分析した記録から

こんにちは、ふたがみです。

過去問分析のやり方|早稲田・国語を160問分析した記録から

過去問を解いて、丸付けをして、解説を読んで「なるほど」と思って終わり。そんなやり方になっていませんか。

正直に言うと、僕も受験生の頃はこれでした。でもこれは答え合わせであって、分析ではないんですよね。

この記事では、僕がこれまでの指導で出会った、早稲田に合格した生徒の実物の過去問分析ノートを引用しながら、過去問分析のやり方を解説します。

結論を先に言うと、分析とは「間違いの原因を知識・読解・判断の3つに分類し、自分の言葉で言語化すること」です。

この生徒は、これを1問ずつ160問分やりました。これから見せる抜粋はランダムです。つまり160問すべてがこのクオリティでした。狂気の過去問分析とはこのことです。

過去問分析のやり方|「答え合わせ」と何が違うのか

過去問演習の目的は、点数を出すことではありません。「なぜ間違えたか」を自分の言葉で説明できる状態にすることです。

解説を読んで「なるほど」と思うのは、他人の言葉を借りて納得した状態にすぎません。それだと本番で同じ型の問題が出たとき、また同じ場所で転びます。

どこで・なぜ・どう間違えたのかを自分の言葉で書き出してはじめて、間違いは修正できる形になります。

とはいえ、抽象論だけでは伝わらないと思います。実物を見てもらうのが早いですね。

実物を見せます|早稲田・国語、160問の分析ノート

以下、早稲田大学商学部の国語を分析したノートからの抜粋です。現代文・古文・漢文、それぞれから引用します。

分析ノートというと堅苦しいものを想像するかもしれませんが、実物はもっと生々しいです。そこにこそ価値があります。

例1:知識の抜けは、一行で片付ける

「哀」の字ってなんでこうも覚えがたいんだか...→知識

まずこれ。漢字の問題への分析は、これで全部です。一行で終わっています。

ここが最初のポイントです。原因が「知識」なら深追いしない。覚え直すだけのものは、思考を掘っても得るものがありません。「→知識」とタグをつけて次へ行きます。

分析は全問に均等に時間をかける作業ではなく、原因の種類で濃淡をつける作業なんですよね。

例2:現代文の空欄補充|「切った理由」と「出題者の想定」を両方書く

一方、読解が絡む問題への分析は一気に濃くなります。空欄補充問題(文脈上「人格」に付く修飾語を選ぶ問題)の分析から抜粋します。

個人的にロがおかしいと思った根拠は空欄直後の「でなければ、とてつもない極悪人の『人格』も十分尊重されねばならないことになるであろう」という文章であり、裏返すと「そうであれば、とてつもない極悪人の『人格』は尊重しなくてもよくなる」とでもいったところだろう。(中略)ロは前者との区別がしづらい上に、後者に結び付けることができない、というのが切った理由である。

注目してほしいのは、選択肢を「切った理由」を根拠の文ごと再現していることです。さらにこの後、出題者側の意図の再構成に入ります。

そして(私が解釈した限りでは)相手のレトリックはこうである。

出題者を「相手」と呼び、その論理を組み立て直しています。まるで対局の感想戦ですね。それでもなお納得できなかった部分には、こう書いてありました。

これがどのようにして直後の文とつながるのだろうか。ぜひとも小一時間と問い詰めたいものである。(一旦保留)

「(一旦保留)」。これも立派な結論です。納得したフリをするより、出題者との解釈のズレを特定した上で保留する方がずっと誠実だと僕は思います。

例3:古文|解釈を誤った"瞬間"を特定する

古文の分析には、こんな一節があります。

これ最初は「()ならず」だったら「え」を入れればちょうどいいじゃんアゼルバイジャン!、という風に考えていたが、今おもえばここで考えすぎるべきではなかった。

ノートの生々しさが伝わると思います(笑)。かっこつけた分析ノートじゃなくて、解いていたときの頭の中がそのまま書いてあります。だから、間違えた瞬間の思考を後から検証できるんです。

圧巻は、古文の内容一致問題の分析です。「響きことなる竹」の「ことなる」を「異様な」と誤読したことが失点の原因だと特定した上で、本文のあらすじを自分の言葉で書き直しています。

「村にいい竹で作った笛があることに時忠が気づく→適当な理由をつけて自分のと交換する→しれっと素晴らしい竹を強奪しそこら辺のものと差し替える→魔改造済みの笛を返した上に愚民共はなぜか喜ぶ」ということだろうか。

現代語訳を読んで終わりにせず、腑に落ちるまで自分の言葉で流れを組み直しています。そして最後に、次に使える形の教訓へ抽象化しています。

まず一つできることは「ことなる」は即座の解釈を避けて外堀を埋めてから解釈すべきということ、もうひとつは「会話の主題となっているものをしっかりと追うべきである」ということだ→本文解釈

「誤読した」で終わらせず、「どうすれば正しい解釈に至れたか」の手順まで再構成する。読解ミスの分析はここまでやって完成です。

例4:漢文|全滅した日も、感情ごと記録する

漢文のページの冒頭には、こう書いてあります。

なぜこれだけ全部間違えてるの…?

「寡人」=「私」...???? 全く聞いたことがないが、そういうことなのだろう。そんな聞いたことのない表現を使うのはやめていただきたい→知識

全滅した悔しさも、出題への文句も、そのまま書いてあります。それでいいと思います。

綺麗に整えたノートより、感情ごと記録されたノートの方が、読み返したとき「あのときの自分」の思考に戻れますから。そしてこの生徒は、文句を言いながらもちゃんと「→知識」と分類し、別の問題では汎用的な型まで抽出していました。

漢文の場合「『誰かの発言』から『筆者はどういうことを導き』、そして『結局何が言いたいのか』を慎重につかむ」必要がある→本文解釈

分析の型|間違いを「知識・読解・判断」に分類して言語化する

実例を踏まえて、型として整理します。過去問で間違えた問題は、原因を次の3つのどれかに分類してみてください。

  1. 知識:そもそも覚えていなかった。「哀」の字、「寡人」の意味。対処は覚え直すだけ。分析は一行でいい
  2. 読解:本文の解釈・構造の取り違え。「ことなる」の誤読、対句構造の見落とし。対処は「どうすれば正しい解釈に至れたか」の手順を再構成すること。ここに一番時間をかける
  3. 判断:知識も読解も足りていたのに、立ち回りで落とした。考えすぎ、深追い、時間配分。例3の「今おもえばここで考えすぎるべきではなかった」がまさにこれ。対処は「次はどこで見切るか」のルールを決めること

そして、分類したら必ず言語化してください。頭の中で「わかった」と思うだけでは分析になりません。書いてはじめて、思考の穴は形になります。

この生徒のノートがすべての間違いに「→知識」「→本文解釈」とタグをつけていたのは、分類と言語化をワンセットの作業にしていたからですね。

なぜここまでやるのか

160問すべてにこの密度。正直、狂気に見えると思います。でも、この作業には過去問演習の点数以上のリターンがあります。

過去問分析とは、自分の頭の中を客観視する訓練だからです。

自分がどう考え、どこで誤り、出題者は何を意図していたのかを言葉にする力は、いわゆるメタ認知(自分の思考を一段上から眺める力)そのもので、入試が終わっても使い続けられます。

実際、自分の考えを言語化する力は、志望理由書を書く場面でもそのまま問われます。

過去問は「何点取れたか」を測る道具ではなく、「自分の頭がどう動くか」を観察する素材です。160問は無理でも、まず直近の1年分から、この型で始めてみてください。

まとめ

  • 過去問分析とは、間違いの原因を知識・読解・判断の3つに分類し、言語化すること
  • 「知識」は一行で片付け、「読解」には最も時間をかけて「正しい解釈に至る手順」を再構成する
  • 選択肢を切った理由と、出題者の想定の両方を書く。納得できなければ「保留」も結論
  • 感情ごと記録していい。綺麗なノートより、解いたときの頭の中が残るノートを
  • 他の科目の勉強法は科目別インデックスから

この勉強は、将来どこに繋がるか

過去問分析で身につく「相手の意図を掴み、自分の思考を言語化する力」は、大学入試の面接で面接官の質問の意図を捉え、的を射た答えを返す場面でそのまま効いてきます。

現代文の読解力は、面接で相手の意図を掴む力です