総合型選抜の面接|6つの型の見分け方と、型ごとに変わる準備

こんにちは、ふたがみです。

「面接対策」で検索して、出てきたページを3つ4つ読んで、そのまま閉じた。そんな時間の使い方をした人は多いと思います。よく聞かれる質問10選。逆質問の例文。姿勢と声の大きさ。どれも間違ってはいないのですが、読み終わっても、自分がこれから受ける面接のことは何ひとつ分からないままです。

生徒からいちばん多くもらう質問は「面接って何分ですか」です。その次が「1人で入るんですか」。この2つに答えているページが、ほとんどありません。

理由は単純です。世の中の面接対策記事は、面接を1種類だと思って書かれているからです。

僕は埼玉県内の学習塾で取締役・塾長をしていて、総合型選抜の指導を10年続けてきました。その10年でいちばん多く見てきた失敗は、話し方が下手だったことではありません。自分が受ける面接と、やってきた練習が噛み合っていなかったことです。3分で打ち切られる発表に10分の原稿を持っていった人がいます。他の受験生の発表に意見を求められると知らないまま、自分の番が終わった瞬間に気を抜いた人がいます。面接が英語でも行われると気づかずに当日を迎えた人もいます。

このページでは、僕が読み込んだ14大学・33学部分の入試要項の記述から、総合型選抜の面接が実際には何種類あるのかを整理します。そのうえで型ごとに、何が評価されていて、準備がどう変わるのかを書きます。無料で全部出します。

結論|まず「自分の面接はどの型か」を確かめてください

総合型選抜で「面接」と呼ばれているものは、実際には6つの別な試験です。

片方は提出した書類について個別に話すだけ。もう片方はA3の紙を1枚持って教室に入り、他の受験生5人と一緒に3分ずつ発表して、互いに意見を述べ合います。同じ「面接」という言葉で呼ばれていますが、この2つに同じ準備をするのは無理があります。

だから順番はこうなります。型を確かめる。それから練習を決める。逆にすると、練習した分がそのまま無駄になります。

型 当日やること 準備の中心
型1 書類確認型 提出した書類について、個別に質問される 書類を自分の言葉で深く話せる状態
型2 口頭試問型 知識や課題を、その場で口頭で問われる 教科や学問の基礎を口で説明する練習
型3 外国語面接型 面接そのものが英語など外国語で進む 志望理由を外国語で話す練習
型4 プレゼンテーション型 持ち時間を与えられて発表する 時間ぴったりに収める通し練習
型5 グループ型 他の受験生と同じ教室で、反応を求められる 人の話を聞いて即座に返す練習
型6 面接のない型 当日の試験がなく、書類だけで決まる 書類の完成度そのもの

この6つは排他ではありません。型2と型3が重なる大学があり、型4と型5が重なる大学もあります。重なっているなら、重なった分だけ準備が増えます。

型の判別|大学が使っている言葉が、そのまま型を決めます

型を当てるのに、特別な調べ物は要りません。大学が公表している選考方法の欄には、必ず次のどれかの言葉が並んでいます。その言葉と型は、一対一で対応します。

選考方法の欄に並ぶ言葉 意味していること 型 実データでの例
面接/面接試験 提出書類についての質疑。多くは個別 型1 立教 観光、専修 経営学科、帝京平成 健康医療スポーツ、日大 生物資源
口頭試問 知識や課題を、その場で口頭で問われる時間がある 型2 駒澤 経営、順天堂 スポーツ健康科学、東京農業 醸造科学、東洋 情報連携
質疑応答 発表や作品への問いが来る。発表とセットで使われる 型4に付随 東洋 国際観光、日大 商、東洋 環境イノベーション
「英語と日本語で行います」など言語の指定 面接の一部が外国語で進む 型3 文教 国際観光・国際理解、獨協 英語・交流文化、神田外語 英米語
プレゼンテーション/課題発表 持ち時間を与えられて発表する 型4 東洋 国際観光(1人3分)、文教 国際観光(7分程度)、日大 商(10分以内)
集団面接/グループディスカッション/ディベート 他の受験生と同じ教室に入る 型5 日体大(全方式)、東洋 子ども支援、東洋 哲、文教 特別支援教育
書類審査のみ 当日の試験がない 型6 玉川 教育・農(総合型入学審査)

同じ「面接」でも、1人3分で打ち切られる大学と、1人30分かける大学が、同じ秋に並んでいます。人数も、個別と原則5名の集団が同じ年内入試の中にあります。この表のどの行に自分が当たるかで、これから何を練習するかが決まります。

「面接」と「口頭試問」が並記されていたら、別の2つが行われるという意味です。ひとつの言葉の言い換えではありません。駒澤大学の経営学部は「面接・口頭試問」で1枠、順天堂大学のスポーツ健康科学部の総合型Ⅰ・Ⅱは「面接試験・口頭試問」です。前半で志望理由を聞かれ、後半で専門に関する問いが来ます。

そして言語の指定は、要項の中でいちばん見落とされます。文教大学の国際観光学科と国際理解学科は、資格優先型の口頭試問について「口頭試問は英語と日本語で行います」と要項に書いています。獨協大学の外国語学部は、学科とグループごとに面接の言語が分かれています。日本語だけの練習で当日を迎えると、そこで止まります。

型1 書類確認型|出した書類が、そのまま試験範囲です

いちばん多い型です。個別の部屋に入り、提出した志望理由書や自己推薦書について質問されます。

評価されているのは、書類に書いた人物と、いま座っている人物が同じかどうかです。だから質問は書類から出ます。ここが型1の性質で、試験範囲が自分の書いたものに限定されているという、きわめて有利な構造になっています。

準備はひとつです。書類に書いた全部の文について、その一段深い話を持つこと。「部活で後輩の指導をした」と書いたなら、何人を、どの期間、どうやって、何がうまくいかなくて、どう変えたか。書類に書ききれなかった部分こそが、面接で出す材料になります。

そのうえで、面接が置かれる位置が分かれます。

大学・学部 面接の位置
専修大学 経営学部 経営学科 第2次は面接だけ。小論文もプレゼンもありません
杏林大学 観光交流文化学科(小論文型・資格取得型) 小論文は出願時に提出済み。当日は面接だけ
専修大学 商学部 小論文90分を書いた直後、11:20から面接
立教大学 観光学部 午前に小論文90分、午後13:00から面接
日本大学 生物資源科学部(公募制) 確認テスト60分のあと12:00から面接
帝京平成大学 健康医療スポーツ学部 基礎能力検査のあと、面接官2名に受験生1名

「当日は面接だけ」と「筆記の直後に面接」は、別の試験だと考えたほうがいいです。前者は朝から面接に集中できます。後者は90分書いたあとの頭で話すことになります。専修大学の商学部なら、その日に自分が書いた小論文の内容を聞かれる前提で用意しておくと会話がつながります。

型1でも「書類の話だけ」ではない大学があります。専修大学の経営学部 経営学科は、面接では高校生活や志望理由に限らず社会情勢・時事問題についても聞く旨が要項に書かれています。経営学部の入試なので、企業や経済の話題が中心になると考えてください。

そして型1だから軽い、ということはありません。日本大学の生物資源科学部の公募制は面接が100点(獣医学科は150点)で、要項に面接評価が最低基準に達しない場合は、総合得点が合格最低点を上回っていても不合格と書かれています。確認テストで点を取っても、面接が基準を割れば通りません。

型2 口頭試問型|知識を、口で説明させられます

「口頭試問」は志望理由の深掘りとは別のものです。その場で問いを出され、知識や考え方を口で説明する時間を指します。

大学・学部 口頭試問の中身
東洋大学 情報連携学部 事前適性審査での学習範囲について口頭で試験。筆記用具の使用可
東洋大学 理工学部 理科や数学の基礎を口頭で問われる形
東洋大学 生命科学部 ほぼすべての方式で面接に口頭試問が入る
東洋大学 栄養科学科(理系型) 化学や生物の基礎
東洋大学 経済学部(自己推薦) 面接に口頭試問。集団面接になる場合がある
駒澤大学 経営学部 「面接・口頭試問」で100点(書類50・小論文100との配点)
日本大学 商学部(公募制) 書類審査・小論文・口頭試問。11月21日の1日で完結
順天堂大学 スポーツ健康科学部(総合型Ⅰ・Ⅱ) 面接試験に加えて口頭試問。小論文はない
文教大学 教育学部 家庭専修 発表後の質疑に家庭科の基礎知識の口頭試問を含む
東京農業大学 醸造科学科 当日は口頭試問(面接・個別方式)だけ

理系学部に多いのですが、それだけではありません。家庭科の基礎知識、経済の時事。学部が扱う対象について、受験生がどこまで言葉を持っているかを測る時間です。

準備の方向が型1と決定的に違います。型1は自分の書いたものが範囲ですが、型2は学部の側に範囲があります。だから自分の書類をいくら読み返しても埋まりません。

やることは2つです。志望する学問の入門書を1冊通して読むこと。そして口で説明する練習です。「光合成を説明してください」「観光公害とは何ですか」と言われて20秒から30秒で答えます。紙に書くのではなく、声に出す。これを10個か20個やっておくと、本番で初めて聞かれた問いにも形式としては慣れています。

東洋大学の情報連携学部は、当日は面接だけで小論文もプレゼンもありませんが、その面接に口頭試問が入ります。要項に筆記用具の使用可と書かれているので、計算して答える形が想定されていることになります。解けるだけでなく、なぜそうなるかを声で説明できる状態が要ります。

型3 外国語面接型|面接そのものが日本語ではありません

面接が外国語で行われる大学があります。練習の言語が変わるので、見落としがいちばん高くつく型です。

大学・学科(方式) 言語
文教大学 国際観光学科・国際理解学科(資格優先型) 口頭試問は英語と日本語
獨協大学 英語学科A・B、交流文化学科A・B(自己推薦) 英語と日本語による面接
獨協大学 ドイツ語学科A・C(自己推薦) ドイツ語と日本語による面接
獨協大学 フランス語学科A・C(自己推薦) フランス語と日本語による面接
獨協大学 ドイツ語学科B・フランス語学科B(自己推薦) 日本語のみ
神田外語大学 英米語学科(10月選考) 英語プレゼン約15分(発表4分以内+英語の質疑約8分)と日本語面接約5分
神田外語大学 英米語学科(11月選考) 日本語と英語による口頭試問約15分
神田外語大学 イベロアメリカ言語学科・国際コミュニケーション学科(11月選考) 日本語と英語による面接約15分
東洋大学 国際地域学科(ジャンルA) 課題レポートも面接も英語

同じ大学の同じ学部でも、グループで言語が分かれます。獨協大学の外国語学部は、英語資格で出すドイツ語学科Bとフランス語学科Bの面接が日本語だけです。その言語をまだ学んでいない人に答えさせる設計にはなっていません。一方で英語学科と交流文化学科は、AでもBでも面接に英語が入ります。

準備はひとつに絞れます。志望理由書に書いた内容を、外国語で1分話せる状態にすること。

外国語の面接で来る最初の問いは、ほぼ志望理由と、その学問に関心を持った理由です。日本語の志望理由書から核になる3文を選び、訳して声に出す。暗記ではなく、同じ内容を何通りかの言い方で出せるところまでやります。日本語で3分、外国語で1分、どちらも原稿を見ずに。これが到達点です。

神田外語大学の英米語学科は構造が少し特殊で、プレゼンテーションのテーマを2つ用意しておき、当日どちらを発表するかを試験室で指示されます。概要はWordの所定用紙で、1テーマにつき2ページ以内、英語100語から150語、参考文献は1テーマにつき3点以上。2テーマ分なので作業量は単純に2倍です。

型4 プレゼンテーション型|持ち時間と資料の規格が、大学ごとに違います

ここがいちばん、一般的な面接対策が通じないところです。

大学・学部(方式) 発表の持ち時間 質疑
東洋大学 国際観光学部(AO型推薦) 1人3分。超えると途中で打ち切り グループ内で質疑
杏林大学 観光交流文化学科(課題型) 3分程度の説明 説明後に質疑応答
神田外語大学 英米語学科(10月選考) 4分以内(英語) 英語での質疑約8分
文教大学 国際観光学科・国際理解学科(課題遂行型) 7分程度 質疑3〜5分程度、ディスカッション10分程度
文教大学 教育学部 幼児心理教育専修 7分 質疑8〜10分
東洋大学 環境イノベーション学部 8分程度 質疑応答・面接(口頭試問を含む)7分程度
日本大学 文理学部 教育学科(総合型 第2次) 8分間程度 面接と併せて実施
文教大学 教育学部 理科・美術・家庭専修 10分 専修により5〜10分
専修大学 ビジネスデザイン学科 10分程度 質疑を含めて1人30分程度
神田外語大学 アジア言語学科(10月選考) 10分以内 質疑・面接約15分
日本大学 商学部(総合型 第2次) 10分以内 質疑10分以内。別に面接10分

3分と10分は、別の試験です。3分は原稿にして900字前後、10分なら3,000字前後。同じ資料は使い回せません。東洋大学の国際観光学部は3分で、過ぎたら途中で打ち切られると要項に書かれています。文教大学の国際観光学科は7分で、倍以上。両方に出願する人は2本作ることになります。

資料の規格も大学ごとに決まっています。

大学・学部 資料の規格と部数
東洋大学 国際観光学部 出願時にA4用紙1枚(40字×36行)以内を4部。当日はこのレポートだけを使い、パソコンも配布資料も使えません
杏林大学 観光交流文化学科(課題型) A3サイズ片面1枚。図や表を主に用いる。手書きも可。出典を明記。原紙とコピー2部の計3部を当日持参
文教大学 国際観光学科 プレゼン資料を当日8部持参(うち1部は提出用)。PCを使う場合データはUSBで持参し、コネクタはUSB Type-Aに限られます
専修大学 ビジネスデザイン学科 出願時にA4片面1枚の要旨(右上に氏名)。当日は模造紙の掲示かPC投影。動作しない可能性があるため印刷資料を5部
東洋大学 文学部 初等教育専攻 課題論文1,800〜2,000字(A4横書き・40字×30行)とレジュメシート(自筆・黒ボールペン)を各3部、プレゼン資料3部
日本大学 商学部 PowerPointかGoogleスライドに限定。ファイルは事前提出で、提出後の変更は誤字脱字を含めて認められません
東洋大学 環境イノベーション学部 PowerPoint・書画カメラ・ポスターなど。PC不具合時は書画カメラになるため、発表データを印刷した用紙を予備で持参

規格は「守れているか」を見られている項目です。A4で1枚と書かれているところに2枚持っていく人は、減点の理由を自分から渡しています。図や表を主に用いると指定されているのに文章を並べた紙を作れば、課題文に答えていないことになります。

型4で評価されているのは時間の中で構造を立てられるかです。3分でも10分でもやることは同じで、最初の15秒で結論を言い、残りで根拠を出す。逆にすると、時間切れで結論が出ないまま打ち切られます。到達点も決めやすく、時間を計って、原稿を見ずに通しで1回やれていること。1回も通さずに本番へ行く人が、毎年います。

型4には、出願の時点で勝負が決まる部分もあります。第1次と第2次の間は、専修大学のビジネスデザイン学科が8日、日本大学の文理学部 教育学科が14日、日本大学の商学部が18日。結果を見てから作り始めると間に合いません。

日本大学の商学部には、もうひとつ変わった設計があります。プレゼンの中身が、出した小論文そのものではありません。要項に「第2次選考試験日までに、提出した小論文の内容について自主学習を進めてください」「その後の自主学習での学びの内容を反映させたプレゼンテーションをしていただきます」と書かれています。9月に出して、10月18日までに調べを進めた分を見せる試験です。

型5 グループ型|自分の番が終わっても、試験は続きます

他の受験生と同じ教室に入る型です。ここがいちばん、ひとりで準備できません。

大学・学部 形式と人数
日本体育大学 体育学部 全方式が集団面接。学部別選考方式とスポーツ推薦は原則3名、アスリート方式は原則5名。10分目安
東洋大学 子ども支援学科 面接がなく、グループディスカッション100点(書類50/小論文100/GD100)
東洋大学 文学部 哲学科 ディベート型。その場で立場を与えられて論じる
東洋大学 国際地域学科(ジャンルC) 事前に各自が作った動画を全員で観たあと、共通テーマでディスカッション
東洋大学 国際観光学部(AO型推薦) 教員2名に受験生5〜7名。質疑で他の人のプレゼンへの意見を求められることがある
文教大学 国際観光学科・国際理解学科(課題遂行型) プレゼンのあとグループディスカッション10分程度(監督者が加わる場合あり)
文教大学 教育学部 特別支援教育専修 当日提示の課題を20〜25分でまとめ、グループで発表し、志願者同士でディスカッション15分、そのあともう一度自分の考えを発表。面接は集団
東洋大学 経済学部(自己推薦) 面接に口頭試問。集団面接になる場合がある
駒澤大学 文学部社会学科社会学専攻・法学部政治学科 グループ討論形式(同じ大学の経営学部は対象外)

評価されているのは、話す力ではなく、受ける力です。東洋大学の国際地域学科のジャンルCは、要項に「他者と協働しながら解決策を探ったり、多様な意見を持つ人々の合意形成を図ったりする意欲・姿勢を高く評価します」と書かれています。何を見ているかが明言されている例です。

だから準備も変わります。自分の発表を磨く練習は、型5では半分にしかなりません。残りの半分は、人の話を聞いて30秒で意見を返す練習です。学校の友達と発表を見せ合い、相手が話し終わったら質問を1つとコメントを1つ返す。これを交互にやります。到達点は「他人の発表に対して、質問を1つとコメントを1つ返せること」。

東洋大学の国際観光学部は、他の人の発表中もメモを取ることが認められています。メモを取ることが想定された試験だということです。自分の番が終わった瞬間に気を抜くと、残りの時間が空白になります。

東洋大学の文学部 哲学科のディベート型は、型5の中でも別格です。その場で立場を与えられて論じるので、原稿は作れません。自分が賛成していない側を割り当てられることもあります。練習できるのは論点を素早く整理する作業で、ニュースを1つ選び、賛成の理由3つと反対の理由3つを5分で書き出す。これを日課にすると形になります。

文教大学の教育学部 特別支援教育専修も同じ性質です。課題は当日出され、資料も機材も持ち込めません。作り込んで持っていく試験ではないので、準備するのは中身ではなく、教育について自分の意見を短時間で立てる練習のほうです。

日本体育大学は全方式が集団面接で、原則3名か5名の10分目安です。1人あたりに割り当てられる時間は3分前後になります。長く話す練習より、短く的確に答える練習が効きます。

型6 面接のない型|書類だけで決まる入口があります

年内入試は面接があるから無理だ、と自分で決めてしまっている人に、この型を伝えたいです。

玉川大学の総合型入学審査には、面接がありません。小論文もありません。選考は書類審査だけです。これは教育学部や農学部だけの設計ではなく、玉川大学が全学部で採っている方式です。

そのかわり書くものが多くなります。教育学部の総合型入学審査Ⅰ期はコミュニケーションシートがA4で8枚。教員養成総合型はエッセイ5枚で、こちらは10月3日に面接があります。同じ大学の中に、面接のある方式とない方式が並んでいます。

東京農業大学の醸造科学科は少し違う形です。第二次に口頭試問がありますが、第一次は書類審査だけで、試験会場すらありません。自己推薦書と1,200字の事前課題で、まず絞られます。

型6で評価されているのは書類そのものです。書き直せる回数が、そのまま持ち点になります。面接がない代わりに、一文ずつ直す時間が全部意味を持つ型だと考えてください。

どの型にも共通すること|面接官が見ているのは「本人か、演出か」

ここまで型の違いを書いてきましたが、6つを貫いているものがあります。10年指導してきて、これは変わりませんでした。

総合型選抜の面接は、話のうまさコンテストではありません。面接官が確かめたいのは、もっとシンプルなことです。

書類に書かれていたあの人物は、本物か。

志望理由書がどれだけ立派でも、それを書いたのが本人なのか、どこまで本人の思考なのかは、書類だけでは分かりません。だから面接があります。面接は、書類の内容を検品される場だと思っておくといいです。そう押さえると、見抜かれるポイントが2つに整理できます。

見抜かれること① 書類との一貫性

面接官は、きみの志望理由書を読んだ状態で座っています。質問の多くはそこから出ます。

「書類に〜と書いてあるけど、もう少し詳しく教えて」。この深掘りに対して、書類より一段深い話が出てくれば、書類は本人のものだと伝わります。逆に、書類に書いてあること以上が何も出てこない、あるいは書類と微妙に違うことを言い出すと、これは本人の言葉ではないなと一瞬で見抜かれます。

他人に磨いてもらった書類で出願して、面接でほころびる。このパターンを僕は何度も見てきました。だから面接対策は、実は志望理由書を書く段階から始まっています。自分で調べて自分で書いた人にとって、書類との一貫性は対策ではなく、自然にできていることだからです。

ここは型を問いません。型1なら質問がまるごと書類から出ます。型4でも、発表のあとの質疑は書類と発表のつなぎ目を突いてきます。日本大学の商学部は要項の特記事項に、受験者本人以外の者(生成AIを含む)から過度な助言を受けたと認められる場合、あるいは本人以外が執筆したと判断される場合は不合格と明記しています。相談すること自体は認められていますが、線はここに引かれています。

見抜かれること② 準備した言葉か、自分の言葉か

もうひとつ、面接官にははっきり聞き分けられるものがあります。暗記した言葉と、その場で考えて話す自分の言葉の違いです。

暗記した回答は、流暢だけれど目が泳ぎます。質問と微妙にずれていても、用意した文をそのまま再生してしまう。一方、自分の言葉で話す人は、多少つっかえても質問に正面から答えます。沈黙して考えてから話します。

意外に思うかもしれませんが、評価されるのは後者です。完璧な暗記より、その場で考える姿のほうが、この人は入学後も自分の頭で考えられるという証拠になります。つっかえることを恐れないでほしいと思っています。

準備の型① 想定問答より「なぜ」を5回掘る

では、どう準備するか。僕がすすめているのは、想定質問リストを作る前に、自分の志望理由に「なぜ」を5回ぶつけることです。

なぜその学問を学びたいのか。なぜその課題を解決したいのか。なぜその経験がそんなに大きかったのか。なぜ解決の手段が進学なのか、就職や独学ではだめなのか。なぜこの大学なのか、他の大学の同じ学部ではだめなのか。

5回目あたりで答えに詰まったら、そこがきみの志望理由のいちばん弱い場所で、面接官が突いてくる場所でもあります。詰まった問いこそ、面接前に自分の中で決着をつけておきます。この作業をやった人は、初めて聞かれる質問にも強いです。どの質問も結局、自分が既に掘った縦穴のどこかにつながっているからです。

紙に書き出しながらやるのがおすすめです。声に出して誰かに聞いてもらえるなら、なお良いです。これは型を問わず効きます。型2の口頭試問でも、型4の質疑でも、型5のディスカッションでも、最後は「なぜそう考えるのか」を問われます。

準備の型② 想定問答は「台本」ではなく「地図」にする

想定問答集を作るなとは言いません。作り方を変えてほしいです。

回答を文章で書いて暗記するのが台本型で、本番で暗記の再生になって逆効果になりやすいです。そうではなく、各質問に対して話す要素を3つまで、単語でメモしておくのが地図型です。

たとえば「入学後に何をしたいか」なら、台本を書く代わりに「◯◯教授のゼミ/△△の調査を続ける/留学」とだけ持っておきます。本番ではその場でこの3点を自分の言葉でつなぎます。これなら毎回言い回しが変わっても軸はぶれませんし、聞かれ方が変わっても対応できます。

練習するなら、回答の丸暗記チェックではなく、地図だけ見て話す練習を。面接官役を頼むときも、質問の順番を毎回変えてもらうといいです。型4のプレゼンでも同じで、原稿を読み上げる形にせず、資料に出した要素を自分の言葉でつなぎます。

準備の型③ 逆質問は大学研究の総仕上げ

最後に「何か質問はありますか」と聞かれることがあります。ここは、大学研究の深さがそのまま出る場所です。

パンフレットを見れば分かることを聞くのは、むしろマイナスです。調べていませんと自己紹介しているのと同じだからです。逆に、教授の研究やカリキュラムまで調べたうえでの質問は、意欲とマッチングの最後のひと押しになります。「◯◯教授の△△の研究に関心があります。学部生のうちからそうした研究に関わる機会はありますか」のような形です。

逆質問は、聞きたいことを探すのではなく、大学研究の過程で本当に湧いた疑問をメモしておくのがいちばんいいです。なければ無理にひねり出さず、志望への思いを一言添えて締めてもかまいません。

当日の落とし穴|要項の本文より、注意書きのほうが事故になります

型の練習をやり切った人が、当日の段取りで崩れることがあります。具体的な落とし穴を並べます。

会場が、学部の所在地と違う大学があります。東洋大学の国際観光学部のAO型推薦は集合が9時で、場所は白山キャンパスです。学部が置かれている赤羽台ではありません。間違えると受験できません。そして同じ要項に、待ち時間が長くなる可能性があるので軽食を持参するようにと書かれています。

昼食が要るかどうかが、同じ学部の中で分かれる大学もあります。帝京平成大学の健康医療スポーツ学部は、柔道整復・リハビリテーション・救急救命士・看護の5コースが集合9時、基礎能力検査9:30〜11:30、面接12:40から。昼食は各自で用意します。スポーツ・トレーナー、アスリート、動物医療の3コースは面接が10:50からで、昼食の用意は求められていません。要項が2ページに分かれていて、試験時間も面接の長さも違います。

終わる時刻は、自分では決められません。帝京平成大学の5コース側は、最終順の人が終わるのが14時40分ごろです。駒澤大学の経営学部は要項に「お待ちいただく場合があります」と明記されています。日本体育大学の学部別選考方式は集団面接が12:00から17:00の予定です。遠方から受けるなら、帰りの交通手段は後ろ倒しで押さえてください。

ゼッケンを自分で作る大学があります。日本体育大学の実技方式は、縦15cm・横25cmの白布に黒色油性ペンで受験番号を書き、2枚作ってTシャツなどの胸面と背面に縫い付けます。安全ピンなどは不可と要項に明記されています。当日の朝に気づいても間に合いません。エントリーシートも黒のボールペンで記入し、消せるボールペンは使えません。そして受験者以外は会場内に入れず、付添人控室もありません。保護者の方は外で待つことになります。

順番が、予想と逆の大学もあります。同じ実技方式は、受付、更衣、面接試験、実技試験、更衣、退構の順で進みます。実技で息が上がったあとに面接ではありません。面接が先です。着替えてすぐ話す順番になるので、一度その順でリハーサルしておいてください。

持ち込みが禁止されている大学があります。杏林大学の観光交流文化学科の課題型は、図解資料以外の持ち込みはできません。資料は面接終了時に返却されます。同学科の小論文型は、持参した資料を面接で使えません。東洋大学の国際観光学部は使えるのが出願時に提出したレポートだけで、パソコンも配布資料も使えません。

部数と接続端子の指定を外すと、そこで足りなくなります。杏林大学は原紙とコピー2部の計3部。東洋大学の国際観光学部は出願時に4部。文教大学の国際観光学科は当日8部持参で、うち1部が提出用。しかもPCを使う場合、発表用データはUSBで持参し、コネクタはUSB Type-Aに限られます。専修大学のビジネスデザイン学科は印刷資料を5部です。

機械が壊れる前提の持ち物が指定されています。東洋大学の環境イノベーション学部は、当日パソコンに不具合が発生した場合は書画カメラによる発表になるため、発表用データを印刷した用紙を予備で持参するよう要項に書いています。

オンラインが選べる大学と、オンラインしか選べない方式があります。東洋大学の総合情報学部の心理・スポーツ情報専攻のAO型推薦は、会場での受験とWeb会議システムによるオンラインビデオ通話形式のどちらかを選べます。条件は、周囲に騒音がなく他者がいない環境と、Webカメラとマイクが搭載されたPC。順天堂大学のスポーツ健康科学部は総合型ⅠのE方式と総合型Ⅲがオンラインで、E方式には口頭試問が入りません。日本体育大学の指定校推薦と高大連携方式は、サテライト会場がオンライン面接です。

地方会場が、1つの日程だけ増える大学があります。帝京平成大学は総合型Ⅰ期のB日程(10月24日・25日)だけ、仙台・つくば・宇都宮・高崎・長野・静岡・大阪・博多でも実施されます。A日程と総合型Ⅱ期、学校推薦型は東京と千葉だけ。獨協大学の外国語学部は逆で、会場は大学構内だけ、試験教室と面接教室の割当は当日キャンパス内に掲示されます。

結果が郵送されない大学があります。日本大学の文理学部 教育学科の第1次選考の結果は、2026年9月26日の土曜10時にマイページ内の合否案内で通知されます。立教大学の観光学部の第1次も、Web出願システムのマイページで確認する形で、掲示も郵送もありません。

そして、合計点では決まらない大学があります。日本大学の商学部は要項に「各選考方法には、それぞれ合格最低基準を設けることとし、すべての合格最低基準を満たす者を合格とします」と書いています。書類・小論文・プレゼン・面接のどれか1つでも基準を割ると、他がよくても不合格です。駒澤大学の経営学部も「各選考方法には基準点を設ける場合があります」。面接を捨てて筆記で取る、という組み立ては成立しません。

次に読む1本

面接で見抜かれるのは、結局のところ書類との一貫性でした。面接対策のいちばん深いところは、志望理由書の中にあります。書類を自分で掘った人が、面接でいちばん強い。この順番で読むのが早いです。

  • 志望理由書の書き方。面接の質問はここから出ます。「なぜ」を5回掘る作業は、書類を書く段階からやっておくと二度手間になりません

年内入試そのものの全体像は総合型選抜のすべてに、大学別の実際の形式は入試分析の記事にまとめてあります。


この記事の大学ごとの形式・時間・人数・持ち込みの可否・配点は、すべてこのサイトの大学別の分析記事で、各大学が公表している2027年度(令和9年度)の入学試験要項から書き出したものです。年度が変わると形式も変わります。最終更新: 2026年10月


二神大輝|埼玉県内の学習塾で取締役・塾長。大学受験と総合型選抜の指導歴10年超。