東北大学 英語の傾向と対策|過去5年分を分析してわかったこと

こんにちは、ふたがみです。

東北大の英語について、対策記事にほとんど書かれていない事実が2つあります。

1つ目。英語の配点は学部で1.75倍違います。理学部は400点、農学部は700点です。同じ問題を解いても、重みがまるで違います。

2つ目。本文の分量が、この5年で1.6倍になりました。令和4年度は1,989語でしたが、令和7年度は3,164語です。試験時間は100分のまま変わっていません。

古い年度の過去問で「時間が足りた」と感じても、あてになりません。この記事では、5年分を数えたうえで、100分をどう配るかを引き算で決めます。

結論

東北大の英語は、5年で分量が1.6倍になった、時間との勝負の試験です。

そして大学自身が志願者へのメッセージで、分量が比較的長めであること、近年は下線部和訳よりも下線部の内容説明や文章の流れの理解を問う問題が多いことを述べています。

この2点は、こちらの集計とも完全に一致しました。

基本情報

項目 内容
試験時間 100分1
配点(英語) 学部で異なります。400点から700点(下表)1
設問別の配点 大学非公表
大問構成 4題。Ⅰ・Ⅱが長文、Ⅲが会話文+自由英作文、Ⅳが和文英訳。5年間不動2
解答形式 記述中心。前期5年82設問で記号47問・記述35問。解答言語は英語58問・日本語24問
問題の種類 全学部共通の1種類
合格者平均点(総合点・2025年度) 62.6%〜77.8%(学部別。下表)3

個別学力試験の外国語(英語)の配点です。

学部 英語 個別計 総点
農学部 700 2,100 3,050
教育学部 650 1,750 2,700
法学部 650 1,950 2,900
薬学部 650 2,350 3,300
経済学部(文系・理系とも) 600 1,800 2,900
医学部医学科 600 2,200 2,750
文学部 500 1,300 2,000
歯学部 500 1,800 2,750
工学部 500 2,000 2,950
医学部保健学科 450 1,650 2,700
理学部 400 1,600 2,350

農学部700点、理学部400点。1.75倍の開きがあります。

農学部を受けるなら、英語は個別2,100点のうち3分の1を占めます。理学部なら1,600点のうち4分の1です。英語にどれだけ時間を割くかの判断は、志望学部で変わります。

なお、文・教育・法・医(医学科)は英語・ドイツ語・フランス語から1つ選べます。それ以外の学部は英語が必須です。

何割取れば受かるのか

東北大は合格最低点を公表していませんが、合格者平均点は公表されています。2025年度・前期日程の総合点です。

学部 合格者平均点 満点 得点率
医学部医学科 2,140.47 2,750 77.8%
理学部 1,647.29 2,350 70.1%
工学部 2,050.32 2,950 69.5%
経済学部(理系) 2,007.00 2,900 69.2%
農学部 2,063.08 3,050 67.6%
法学部 1,923.69 2,900 66.3%
経済学部(文系) 1,920.21 2,900 66.2%
歯学部 1,791.87 2,750 65.2%
文学部 1,291.38 2,000 64.6%
教育学部 1,691.52 2,700 62.6%

医学科を除けば、62.6%から70.1%です。共通テストを含めた総合点なので二次だけの目標にはそのまま使えませんが、6割台後半が現実的な目安だとわかります。

これは平均点なので、合格ラインはもう少し下です。満点を取る試験ではありません。記述が中心で部分点が動くので、白紙にしないことがそのまま得点になります。

大問別の特徴

先に母数を1つ決めておきます。この記事の設問の数は、すべて前期日程だけを数えたものです。令和4年度から令和8年度までの5年で、合計82設問。以下の表はすべてこの82を分けたものです。

5年で分量が1.6倍になりました

年度 Ⅰ Ⅱ Ⅲ(会話文) 合計
令和4 977語 615語 397語 1,989
令和5 1,249語 1,030語 461語 2,740
令和6 1,074語 947語 499語 2,520
令和7 1,283語 1,183語 698語 3,164
令和8 非公開 非公開 783語 非公開

令和4年度の1,989語から令和7年度の3,164語へ、1.6倍です。

とくに会話文(Ⅲ)が397語から783語へ、約2倍になりました。

練習は直近年度の分量で組んでください。目安はⅠとⅡが各1,200〜1,300語、Ⅲが700〜800語です。令和4年度の分量で時間を測ると、本番との差に気づけません。

大問構成は5年動いていません

大問 内容
Ⅰ 長文
Ⅱ 長文
Ⅲ 会話文+自由英作文
Ⅳ 和文英訳

設問数も安定しています。

年度 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 計 記述
令和4 5 5 2 3 15 9
令和5 5 6 2 3 16 6
令和6 5 6 2 3 16 7
令和7 6 5 2 3 16 6
令和8 8 6 2 3 19 7
計 29 28 10 15 82 35

令和4年度から令和7年度までは15〜16問で安定していました。この4年は分量だけが1.6倍になっていて、設問数は増えていません。1問あたりに読む量が増えたということです。

そして令和8年度に19問へ増えました。増えたぶんはすべて大問Ⅰです(6問から8問)。重い大問Ⅰが、さらに重くなっています。

大問Ⅰだけが突出して重いです

年度・大問 平均文長 30語以上の文 40語以上 従属節/文
令和4 Ⅰ 25.1語 16文 7文 0.85
令和5 Ⅰ 20.8語 12文 3文 0.72
令和6 Ⅰ 25.6語 13文 8文 0.95
令和7 Ⅰ 19.4語 9文 7文 0.59
令和4〜7 Ⅱ 17.1〜19.7語 2〜8文 0〜3文 0.31〜0.58
令和4〜7 Ⅲ 10.2〜17.2語 0〜3文 0〜1文 0.30〜0.65

5年とも、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの順に軽くなっていて例外がありません。最長の文は令和7年度Ⅰの71語、令和6年度Ⅰの66語でした。

そしてその大問Ⅰが先頭に置かれています。ここで遅れると全体が崩れる設計です。

だから大問Ⅰの読み方だけを別立てで訓練する価値があります。70語級の文を節に切って並べる手順を、手を動かして身につけてください。

設問の9割が「読んだあとにひと手間」を要求します

前期82問を、本文をどう加工させられるかで分けました。

深さ 設問数
転記に近い(訳す・抜き出す・知識を当てる) 9
操作が1つ(指示語を開く/言いかえる/構文をほどく) 41
操作が2つ以上(具体化と統合、対比の両側そろえ、抽象化して判定) 32

操作を伴うものが73問。全体の9割です。転記で済む設問は9問しかありません。

つまり本文が読めただけでは点になりません。読解の演習を増やすだけでは、この手間は身につきません。

設問の型で見ても同じことが言えます。

型 設問数
合う合わない型(内容一致・不一致) 10
言いかえ型 8
部品で英訳型 8
近い語型 6
意見を書く型 5
自力で英訳型 5
訳す型 4
並べかえ型 4

訳す型は4問にとどまり、言いかえ型8問・合う合わない型10問のほうが多いです。大学自身が「下線部和訳より内容説明が多い」と述べているとおりの結果でした。

和訳の練習だけでは足りません。

100分をどう配るか

令和7年度の本文3,164語を、答案を作りながら読む速度を毎分80語と置くと、読むだけで40分かかります。設問に残るのは60分です。

大問 語数 読み 設問 小計
Ⅰ 1,283語 16分 14分 30分
Ⅱ 1,183語 15分 13分 28分
Ⅲ 698語 9分 12分(うち英作文9分) 21分
Ⅳ 和文英訳 18分 18分
予備 3分

予備が3分しかありません。これは推定ではなく、引き算の結果です。

毎分80語という値は「素読みの速度」ではありません。答案を作りながら読む速度です。ここを混同すると配分が崩れます。

だから東北大では、解く順序の設計が効きます。読解の要らないⅣ(和文英訳)と、平易なⅢ(会話文)を先に確保して、重いⅠを最後に回さないようにしてください。順序を何通りか、過去問で試しておいてください。

対策の順序

第1段階:和文英訳を型で処理できるようにする(高3春から夏)

大問Ⅳは読解が要りません。英訳が13問(部品で英訳型8・自力で英訳型5)あり、読解力と独立に積める得点です。

到達基準: 大問Ⅳの3問を、15分以内で書き切れること。

第2段階:大問Ⅰの読み方を別立てで訓練する(高3夏)

平均文長25語、最長71語。ここだけ別の負荷です。節ごとに切って並べる手順を、手を動かして身につけます。

到達基準: 60語以上の文を、構造を書き出さずに読み通せること。

第3段階:内容説明を書く練習(高3秋)

9割が操作を伴う設問です。指示語を開き、言い換え、対比の両側をそろえます。

到達基準: 下線部の内容説明を、根拠の位置を挙げたうえで日本語にできること。

第4段階:直近年度の分量で通し練習(高3秋)

令和4年度の1,989語ではなく、令和7年度の3,164語を基準に。会話文も397語ではなく700〜800語です。

到達基準: 3,164語を、答案を作りながら40分で処理できること。

第5段階:解く順序を何通りか試す(高3冬)

予備が3分しか残らない試験です。順序の設計そのものが対策になります。

語彙の覚え方に自信がなければ、英単語の覚え方を先に読んでみてください。

過去問を解いたあとの復習のやり方は、過去問分析のやり方にまとめました。

併願校に、この対策はどこまで流用できるか

東京科学大学と比べる

東北大 東京科学大
試験時間 100分 90分
本文の総語数 3,164語(令7) 3,209語
和文英訳 独立した大問Ⅳ(毎年3問) 設問内に13問
自由英作文 あり(意見を書く型5問) なし

本文の分量はほぼ同じです。和訳と内容説明の記述練習は相互に流用できます。

ただし東京科学大には、本文のほかに選択肢と設問文の英文が1,073語あります。本文と合わせて4,282語を90分で読む計算です。東北大は本文3,164語を100分。東北大の100分に慣れた感覚で臨むと、東京科学大のほうがきつく感じるはずです。

逆に、東北大の自由英作文は東京科学大には出ません。この枠は東北大専用の準備が要ります。

三重大学と比べる

東北大 三重大
試験時間 100分 80分
本文の総語数 3,164語 1,871語
離れた段落をつなぐ設問 5問 0問
操作が2つ以上の設問 39% 17%

分量が1.7倍違います。三重大の演習で時間が足りても、東北大では足りません。

そしてもっと大きい差が、統合の有無です。東北大は離れた複数の段落をつなぐ設問が5問ありますが、三重大は3年で0問です。三重大の記述は「根拠の1文を見つけて1つ操作する」型が主流で、東北大は操作が2つ以上のものが39%あります。

三重大の対策だけでは、東北大の統合型に届きません。

次に読むなら、この1本

東京科学大学 英語の傾向と対策

本文の語数は東北大とほぼ同じですが、選択肢の英文が1,073語あり、試験時間は10分短いです。併願するなら、どちらを基準に時間感覚を作るかを先に決めてください。


この記事は令和8年度(2026年度)入試までの出題を分析しています。最終更新: 2026年9月

出典

  1. 試験時間100分・学部別の個別学力試験の配点(外国語)。東北大学「令和8年度(2026年度)入学者選抜要項」https://www.tnc.tohoku.ac.jp/images/yoko/2026_senbatsu.pdf ↩
  2. 大問構成(記述中心の長文読解2題・自由英作文つき対話文読解1題・和文英訳1題)。代々木ゼミナール「2026 東北大学(前期)英語 概評」https://sokuho.yozemi.ac.jp/sokuho/k_mondaitokaitou/6/pdf/tohoku_zenki_english_gaihyou.pdf ↩
  3. 2025年度 前期日程の合格者平均点(総合点)。代々木ゼミナール「東北大学 合格者平均点の推移」https://www.yozemi.ac.jp/nyushi/data/tohoku/tohoku_data_2.html ↩

二神大輝|埼玉県内の学習塾で取締役・塾長。大学受験と総合型選抜の指導歴10年超。

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