三重大学 英語の傾向と対策|過去3年分を分析してわかったこと
こんにちは、ふたがみです。
三重大の英語を書く前に、先に確かめてほしいことが2つあります。
1つ目。学部によっては、二次試験で英語を1問も解きません。
| 学部 | 二次試験の英語 |
|---|---|
| 工学部 | 課されません(数学と物理) |
| 生物資源学部 | 課されません(数学と理科) |
| 教育学部 | 英語・数学・国語から選択。英語を選ばなければ不要です |
| 医学部 看護学科 | 選択科目のひとつ。英語を選ばなければ不要です |
4つあります。この事実に触れている対策記事を、私は見つけられませんでした。志望学部によっては、この記事の対策はまるごと不要になります。まず自分の学部の配点を確かめてください。
2つ目。三重大の英語は、全学部が同じ問題を解くわけではありません。問題は2種類に分かれていて、医学部医学科・工学部・生物資源学部が1つ、人文学部・教育学部・医学部看護学科がもう1つです。
この記事が1問ずつ数えたのは前者、医学科が解く問題です。工学部と生物資源学部は同じ問題の英語を課されないので、実測がそのまま当てはまるのは医学部医学科ということになります。人文学部・教育学部・看護学科を受ける人は、配点と合格ラインの節だけを参考にしてください。
そのうえで、医学科の話をします。三重大の医学科を目指している人からは、こういう相談をもらいます。「医学科だから英語も相当きついんですよね」。
分量に関しては、そうでもありません。80分で本文1,583語から1,871語。1分あたり23.4語です。東北大は100分で3,164語、1分あたり31.6語なので、三重大の処理量はおよそ4分の3になります。
ただし油断はできません。差がつくところが違うからです。
結論
三重大の英語は、速く読む力ではなく、書いて点にする精度で差がつく試験です。
分量は控えめです。しかし記述が多く、しかもその答えの材料は本文の特定の1文か2文に収まっています。離れた段落をつなぐような設問は、3年で1問も出ていません。
根拠になる1文を見つけて、設問の要求に合わせて加工する。この2手順で解ける設計です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 80分 |
| 配点(英語) | 学部で異なります。課されない学部もあります(下表)1 |
| 設問別の配点・採点基準 | 大学非公表 |
| 大問構成 | 3題。3年とも長文読解のみ。文法の単独問題・リスニング・和文英訳の独立大問はありません |
| 解答形式 | 記述中心。3年46設問のうち記述31問(67%)。解答言語は英語30問・日本語14問(残る2問は語法・整序で、どちらの言語でもありません) |
| 問題の種類 | 医学部医学科・工学部・生物資源学部が解く問題。人文学部・教育学部・医学部看護学科は別の問題です |
| 合格者最低点(個別学力検査・令和7年度) | 42.5%〜72.0%(学科別。下表)2 |
前期日程の個別学力検査における英語の配点です。
| 学部・学科 | 英語 | 個別合計 |
|---|---|---|
| 人文学部(文化・法律経済) | 300点 | 600 |
| 医学部 医学科 | 200点 | 700(数学200・理科200・英語200・面接100) |
| 医学部 看護学科 | 150点(選択科目のひとつ) | 400 |
| 教育学部 | 英語・数学・国語から選択 | 400 |
| 工学部 | 課されません(数学350・物理250) | 600 |
| 生物資源学部 | 課されません(数学250・理科250) | 500 |
英語の重みがいちばん大きいのは人文学部です。個別600点のうち300点、つまり半分です。医学科は700点のうち200点で、割合では人文学部より軽くなります。
ただし人文学部が解くのは、この記事で数えたのとは別の問題です。配点の重さと、この記事の実測は、そのままつなげないでください。
採点基準が非公表であることは、この記事でくり返し断ります。以下に出てくる「解答要素の切り方」は、赤本の解説と模範解答から逆算した推定です。大学が公表したものではありません。例外は英作文の評価観点だけで、これは大学が問題文に明記しています。
何割取れば受かるのか
三重大学は、学科ごとの合格者の得点を公表しています。令和7年度・前期日程の個別学力検査の数値です。
| 学部・学科 | 配点 | 合格者最低点 | 合格者平均点 | 最低点の得点率 |
|---|---|---|---|---|
| 医学部 医学科 | 700 | 504.00 | 566.84 | 72.0% |
| 医学部 看護学科 | 400 | 201.00 | 257.11 | 50.3% |
| 人文学部 文化学科 | 600 | 267.00 | 383.73 | 44.5% |
| 人文学部 法律経済学科 | 600 | 264.00 | 379.01 | 44.0% |
| 教育学部 英語教育コース | 400 | 170.00 | 201.45 | 42.5% |
医学科だけが別格で7割超。他は4割台から5割です。
人文学部を例にすると、個別600点で合格者最低点が267点。4割ちょっとで通っています。英語300点の試験で満点を狙う必要はありません。
医学科は個別700点で504点、7割2分。ここは英語でも取りにいく必要があります。ただし配点は数学200・理科200・英語200と均等なので、英語だけを突出させる必要はありません。
志望学部で目標がまったく変わります。まず自分の学科の数字を見てください。
大問別の特徴
先に母数を1つ決めておきます。3年分の設問は46です。以下の表はこの46を分けたものですが、語法や整序のように本文を参照しない設問が2つあり、解答言語と参照範囲の表だけは44が母数になります。表ごとに合計を添えました。
3年で記述が13問から7問に減りました
| 年度 | 設問数 | 記述 | 記号 | 日本語記述 | 英語記述 | 本文語数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 16 | 13 | 3 | 6 | 7 | 1,583語 |
| 2024 | 17 | 11 | 6 | 6 | 5 | 1,657語 |
| 2025 | 13 | 7 | 6 | 2 | 5 | 1,871語 |
記述が13問から7問へ、本文は1,583語から1,871語へ。書かせる量が減って、読ませる量が増えています。
とくに日本語記述が6問、6問、2問と激減しました。2025年度は和訳1問と指示内容の説明1問だけです。代わりに増えたのが、本文からの抜き出しと選択肢問題でした。
ただし3年分では、これが方向なのか2025年度だけの揺れなのか判定できません。記述が減ることを前提にした対策は勧めません。13問出ても書き切れる状態を作ってください。
大問Ⅰは、日本語を1字も書かせません
大問Ⅰは3年とも「英語で答える大問」です。日本語の記述はⅡとⅢに集まります。
英作文は独立した大問ではなく、長文大問の最終設問に埋め込まれています。2024年度はⅡの問5、2025年度はⅢの問5、2023年度は出題なしでした。
46設問のうち30問が英語で答えるものです。内容が取れていても、英語で書けなければ点になりません。
重い1題がどこに来るかは、年で変わります
| 年度・大問 | 語数 | 平均文長 | 30語以上の文 | 従属節/文 |
|---|---|---|---|---|
| 2023 Ⅰ | 691 | 15.4 | 5 | 0.33 |
| 2023 Ⅱ | 362 | 15.1 | 2 | 0.17 |
| 2023 Ⅲ | 530 | 22.1 | 6 | 1.08 |
| 2024 Ⅰ | 566 | 16.6 | 4 | 0.59 |
| 2024 Ⅱ | 460 | 27.1 | 4 | 0.53 |
| 2024 Ⅲ | 631 | 17.1 | 2 | 0.65 |
| 2025 Ⅰ | 459 | 22.9 | 6 | 0.35 |
| 2025 Ⅱ | 739 | 15.7 | 5 | 0.55 |
| 2025 Ⅲ | 673 | 26.9 | 8 | 0.88 |
1大問あたり360語から740語。小ぶりです。
ただし大問間の重さがそろっていません。平均文長が22語を超える重い大問と、15語から17語の軽い大問が混在します。
そして重いのが何題あるかも、年で変わります。
| 年度 | 重い大問(平均22語超) | 軽い大問 |
|---|---|---|
| 2023 | Ⅲ(22.1語)の1題 | Ⅰ・Ⅱ(15語台) |
| 2024 | Ⅱ(27.1語)の1題 | Ⅰ・Ⅲ(16〜17語) |
| 2025 | Ⅰ(22.9語)とⅢ(26.9語)の2題 | Ⅱ(15.7語)の1題だけ |
2023年度と2024年度は重い1題と軽い2題でしたが、2025年度は重い大問が2題あり、軽いのは1題だけでした。しかも重い大問の位置は毎年変わります。
「大問Ⅰから順に、同じペースで解く」という組み方は危険です。
答えの材料は、本文の1文か2文に収まっています
本文を参照する44設問を、どこまで見る必要があるかで分けました。
| 範囲 | 設問数 |
|---|---|
| 下線部の中だけ | 13 |
| 前後2〜3文 | 13 |
| 段落全体から隣の段落 | 13 |
| 文章全体 | 5 |
| 離れた複数の段落 | 0 |
| 合計 | 44 |
離れた段落をつなぐ設問は、3年で1問も出ていません。
加工の深さで分けても同じ傾向です。
| 深さ | 設問数 | 割合 |
|---|---|---|
| 転記に近い | 4 | 9% |
| 操作が1つ | 34 | 74% |
| 操作が2つ以上 | 8 | 17% |
| 合計 | 46 | 100% |
操作が1つで済むものが74%です。参考までに東北大は操作が2つ以上のものが39%あり、三重大はその半分以下です。
赤本の解説を3年分たどると、記述問題の根拠の示し方が統一されています。段落番号と文番号、そして原文の冒頭数語で、根拠になる1文を名指しする形です。3年分の解説を通して、この形が崩れません。
だから解き方が決まります。根拠になる1文を探して線を引き、その1文を設問の要求に合わせて加工する。この2手順です。
段落をまたいで情報を集める練習は、三重大では回収されません。
設問の型
| 型 | 設問数 |
|---|---|
| 和訳 | 6 |
| 理由の再構成 | 4 |
| 空所補充 | 4 |
| 語句整序 | 3 |
| 指示内容の復元 | 3 |
| 抜き出し | 2 |
| 文入れ | 2 |
| 語法選択 | 2 |
| 主旨の同定 | 2 |
| 内容一致 | 2 |
| その他 | 16 |
和訳は3年とも毎年出ます。ここは減っていない枠です。
80分をどう配るか
本文1,600〜1,900語、設問13〜17問。読む量には余裕があり、書く時間が要ります。
最初の2分で3題を見渡し、見直しに10分を残す。残る68分を、重い大問に厚く配ります。
| 重い大問の数 | 配り方(3題の合計68分) |
|---|---|
| 1題の年(2023・2024) | 重い28分 + 軽い20分 + 軽い20分 |
| 2題の年(2025) | 重い25分 + 重い25分 + 軽い18分 |
最初の2分を、3題を見渡すことに使ってください。平均文長が22語を超える大問が何題あるかを数えてから、時間を配ります。この2分で、あとの78分の使い方が変わります。重い1題を探すのではなく、重いのが1題か2題かを見分けるつもりで見てください。
見直しの10分は、記述の答案を読み返す時間に使ってください。記述が67%を占め、しかも30問が英語です。読解を見直すより、書いた英語を見直すほうが点になります。
対策の順序
第1段階:和訳を型で処理できるようにする(高3春から夏)
3年とも毎年出ます。構文の骨格を取る、文法項目を訳出に反映する、多義語を文脈に合わせる、日本語として通す。この4つを分けて練習してください。
到達基準: 下線部の和訳を、直訳のまま提出せずに日本語として通せること。
第2段階:根拠の1文を探す練習(高3夏)
設問を読んで、本文のどこに答えの材料があるかを特定します。線を引いてから、加工する。この順番を体に入れてください。
到達基準: 記述問題ごとに、根拠の1文を本文中に指させること。
第3段階:英語で答える練習(高3秋)
大問Ⅰは3年とも英語だけです。46設問のうち30問が英語で答えるもの。
到達基準: 内容説明を、20語前後の英語で破綻なく書けること。
第4段階:抜き出しの語数指定に慣れる(高3秋)
2025年度は語数が明示されました。1語、2語、3語といった指定です。該当箇所を見つけるだけでなく、指定どおりに切り出す精度が要ります。
到達基準: 語数指定つきの抜き出しを、指定ちょうどで答えられること。
第5段階:最初に3題を見渡す練習(高3冬)
重い大問が何題あるかを見きわめてから時間を配ります。過去問を解くたびに、最初の2分でどれが重いかを予想して、あとで答え合わせしてください。2025年度のように重い大問が2題ある年もあるので、「重いのは1題」と決めてかからないでください。
語彙の覚え方に自信がなければ、英単語の覚え方を先に読んでみてください。
過去問を解いたあとの復習のやり方は、過去問分析のやり方にまとめました。
併願校に、この対策はどこまで流用できるか
実測が揃っている東北大と並べます。
| 三重大 | 東北大 | |
|---|---|---|
| 試験時間 | 80分 | 100分 |
| 大問数 | 3題 | 4題 |
| 本文の総語数 | 1,871語(2025) | 3,164語(令7) |
| 記述の比率 | 67%(31/46) | 記述6〜9問 |
| 離れた段落をつなぐ設問 | 0問 | 5問 |
| 操作が2つ以上の設問 | 17% | 39% |
記述の書き方そのものは流用できます。和訳、指示内容の復元、理由の再構成。どちらも記述で点を取る試験です。
ただし2つ、はっきりした差があります。
1つ目は分量です。三重大1,871語に対し、東北大3,164語。1.7倍あります。三重大の80分で時間が余ったとしても、東北大の100分では余りません。
2つ目は統合の有無です。三重大は離れた段落をつなぐ設問が3年で0問。操作が1つで済むものが74%です。一方の東北大は離れた段落をつなぐ設問が5問あり、操作が2つ以上のものが39%を占めます。
三重大の「根拠の1文を見つけて1つ操作する」練習だけでは、東北大の統合型には届きません。東北大を併願するなら、段落をまたいで情報を集める練習を別に積んでください。
次に読むなら、この1本
三重大の記述の書き方は流用できますが、分量が1.7倍で、離れた段落をつなぐ設問があります。どこから別練習になるかを確かめてください。
この記事は2025年度入試までの出題を分析しています。最終更新: 2026年9月
出典
- 前期日程の個別学力検査の科目・配点。三重大学「令和7年度(令和6年度実施)入学者選抜について(予告)」https://www.mie-u.ac.jp/exam/R7nyuugakusyasenbatunituite2023.0614.pdf / 河合塾Kei-Net 大学検索システム「三重大学 入試科目」https://search.keinet.ne.jp/1265/general/exam_subject ↩
- 令和7年度 一般選抜 合格者平均点等一覧(前期日程・個別学力検査の数値)。三重大学 https://www.mie-u.ac.jp/exam/ ↩

