早稲田大学商学部 英語の傾向と対策|過去6年分を分析してわかったこと

こんにちは、ふたがみです。

早稲田の商学部を目指している人から、いちばんよくもらう相談がこれです。「英語が時間内に終わらない。最後の大問はいつも塗り絵になる」。

先に言っておきたいことがあります。それは、あなたの読むのが遅いからではありません。全部を読み切る前提で組むと、この試験は誰がやっても終わりません。

この記事では、6年分を全問数えたうえで、90分をどう配って、どこを捨てて、何割取れば受かるのかを具体的に書きます。

結論

早稲田商の英語は、全問を解こうとすると落ちる試験です。

大問5題。〔Ⅰ〕は毎年会話文で、〔Ⅱ〕から〔Ⅴ〕が読解。この形は6年とも変わりません。変わったのは量だけで、本文は6年で1.5倍になりました。

やることは変わりません。増えた量にどう対処するかだけが問題です。そして対処法は「速く読む」ではなく、「取る問題と捨てる問題を先に決めておく」です。

基本情報

項目 内容
試験時間 90分1
配点(英語) 地歴・公民型 80点(200点満点)/数学型 60点(180点満点)2
合格最低点 地歴・公民型 130.3点/200点(65.2%)・数学型 111.8点/180点(62.1%)3
設問別の配点 大学非公表
大問構成 5題。〔Ⅰ〕会話文/〔Ⅱ〕〜〔Ⅴ〕長文読解
解答形式 マーク式と記述式の併用。解答用紙が2種類配られます
出題範囲 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ/論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ2
試験日 2月21日4

まず押さえてほしいのは英語の重さです。地歴・公民型では英語だけで80点。国語60点・地歴60点と並ぶと、英語だけが3割強も重い配点になっています。ここでの失点は他科目で取り返しにくい、ということです。

そして私大なのに記述があります。解答用紙が2種類配られるのはそのためです。マークだけの対策では届きません。

何割取れば受かるのか

受験生からいちばん聞かれる質問なので、先に答えます。

合格最低点は200点満点で130.3点。65.2%です。(地歴・公民型/2026年度)

ただし、ここに大事な注意が1つあります。この点数は素点ではなく、大学が換算したあとの点数として公表されています。だから過去問を自己採点した点数と、そのまま比べることはできません。

そこで実務的な目安を置きます。

過去問では7割を目標にしてください。英語80点なら56点前後です。合格ラインが65%なので、換算のぶれを考えても7割取れていれば安全圏に入ります。逆に5割台が続くなら、後述する「捨てる問題」の決め方を先にやったほうが速く伸びます。

もう1つ。英語は合格者とそれ以外で差がつきやすい科目です。配点が重いぶん、ここで作った差は他科目では埋まりにくいです。だから英語に時間を寄せる判断は、商学部に関しては正しいと思います。

90分をどう配るか

全部読むと終わりません

先に数え方を1つ決めておきます。この記事で問題の数を言うときは、すべて「解答欄の数」で数えます。大問や小問のまとめ方は年で変わりますが、解答欄の数は答案用紙で数えられるので、年をまたいでも他大学と並べても比較できます。

年度 本文の総語数 解答欄の数
2020 2,881 58
2024 3,726 71
2025 3,249 63
2026 4,341 70

直近の2026年度は4,341語です。90分で割ると1分あたり48語。これを読みながら70の解答欄を埋めることになります。

48語/分は、初見の英語としてはかなり速い部類です。素直に全部読もうとすると、まず終わりません。

だから配分をあらかじめ決めておきます。

大問 内容 目安の時間
〔Ⅰ〕 会話文(365〜403語) 10分
〔Ⅱ〕〜〔Ⅴ〕 読解4題 各17〜18分
見直し 記述の抜けを確認 5分

この配分の意味は「1題18分で切る」ことです。時間が来たら、解けていなくても次へ行ってください。1題に25分かけて完璧に解くより、4題を18分ずつ回すほうが総得点は上がります。

〔Ⅰ〕の会話文は、6年ずっと軽く作られています

語数 1文の平均の長さ
〔Ⅰ〕会話文(4年分) 365〜403語 8〜10語
〔Ⅱ〕〜〔Ⅴ〕読解 508〜1,215語 15.6〜27.9語

会話文の1文は8〜10語。読解の半分以下です。語数も4年で幅が38語しかありません。

つまり〔Ⅰ〕は、意図的に軽く作られた枠です。ここは訓練でほぼ確実に速くなります。10分以内で抜けて、浮いた時間を読解に回してください。

逆に、ここで悩んで15分使うと後半が崩れます。〔Ⅰ〕で迷ったら、印を付けて先へ進んでください。戻れる時間は見直しの5分に確保してあります。

捨てる問題を先に決めておく

「捨てる」と聞くと不安になると思います。でも90分4,341語の試験では、捨て方を決めている人のほうが点は高いです。

拾うべきもの

6年の解答欄380のうち、数の多い型はこの4つです。

型 6年の解答欄の数
下線部の言い換え(4択) 68
空所補充(4択) 67
内容一致(4択) 48
語句整序 21

数のうえでの主力は、下線部の言い換えと空所補充です。この2つで135。どちらも該当箇所の前後だけで解ける問題が多い枠なので、本文全体を読まなくても拾えます。ここを落とさないことが最優先です。

そのうえで、語句整序は別格に効率のいい枠です。6年の解答欄380のうち記述は27しかなく、そのうち21が語句整序だからです。残りは和文英訳3と本文からの抜き出し3だけ。しかも整序は本文が読めていなくても、文法と語法の知識だけで組めます。

だから記述の練習時間は、8割を語句整序に振ってください。

後回しにしていいもの

内容一致は最後で構いません。本文全体を見渡す必要があり、1問あたりの時間が長くなります。時間が足りない日は、ここを削るのが被害が小さい。

そして時間切れになりそうな大問は、内容一致を飛ばして語句整序と空所補充だけ拾ってから次へ行きます。これが実戦での動き方です。

読む前に決めておくこと

過去問を解くとき、始める前に「今日はどの順で解くか」を紙に書いてから始めてください。本番で初めて順番を考えると、必ず迷います。

おすすめは〔Ⅰ〕→ 短い読解 → 長い読解の順です。冊子を開いて最初の1分で、読解4題の長さをざっと見て順番を決めてください。この1分は損になりません。

対策の順序

第1段階:語句整序を型から組む(高3春まで)

記述27の解答欄のうち21を占める主役で、本文が読めなくても積める得点です。ここから始めるのがいちばん効率がいいです。

教材: 『英文法・語法 Vintage』または『NextStage』で語法を一通り。そのうえで整序専用に『大学入試 英語頻出問題総演習』を1冊。

到達基準: 整序は必ず文全体を組んでから答えること。早稲田商の整序には使わない語が1つ混ぜてあることがあります。3番目に来る語だけを当てにいく解き方だと、この形で崩れます。

第2段階:語彙を準1級レベルまで(高3夏まで)

市販の受験用単語集を1冊終えたあと、上積みとして使います。

教材: 『英検準1級 でる順パス単』。

到達基準: パス単を8割。覚え方に自信がなければ、英単語の覚え方を先に読んでみてください。1単語2秒で回す方法は熟語にもそのまま使えます。

第3段階:〔Ⅰ〕の会話文を10分で抜ける(高3夏)

6年ずっと軽い枠なので、集中的にやれば必ず速くなります。過去問の〔Ⅰ〕だけを4年分、続けて解いてみてください。1回30分もかかりません。

到達基準: 365〜403語の会話文を10分以内、9〜11ある解答欄のうち8つ以上。

第4段階:直近年度の分量で通し練習(高3秋以降)

必ず2026年度・2025年度から解いてください。古い年度から順に解くと、分量の感覚が実際より軽くなります。2020年度で時間が足りても、2026年度では足りません。

到達基準: 90分で7割。英語80点なら56点前後です。

第5段階:AIの話題を日本語で仕込む(すきま時間で)

年度 読解4題にAI関連が何本あったか
2020 0本
2024 1本(生成AIの普及と社会問題)
2025 1本(AI時代の人間の強み)
2026 2本(AIと語学練習/生成AIと音楽の報酬)

直近3年の読解12本のうち4本がAI関連です。2020年度には1本もありませんでした。

論点(仕事への影響、著作物と報酬、人間に残る強み)を日本語で知っているだけで、読む速度が変わります。新書1冊で足ります。英語の勉強時間を削る必要はありません。

過去問を解いたあとの復習のやり方は、過去問分析のやり方にまとめました。同じ早稲田の国語を160問分析した記録なので、復習の型はそのまま使えます。

併願校に、この対策はどこまで流用できるか

明治大学商学部と比べる

早稲田商 明治商
試験時間 90分 80分
本文の総語数(直近) 4,341語 2,798語
解答欄の数(直近) 70 52
解答欄1つあたりに読む本文 62語 54語
解答欄1つあたりに使える時間 77秒 92秒
記述で出るもの 語句整序・和文英訳・抜き出し 語形変化のみ8問
語句整序 6年で21 6年で1

マークの主力(下線部の言い換え・内容一致・空所補充4択)は共通です。ここは同じ練習で両方に効きます。

一方、記述はまったく別です。明治商の記述は6年とも語形変化8問だけ。早稲田商の語句整序21は、明治商では6年で1しか出ません。記述だけは別に時間を取ってください。

もう1つあります。本文の量と解答欄の数の比が逆です。早稲田商は4,341語で70の解答欄。明治商は2,798語で52の解答欄です。解答欄1つあたりに読む本文は、早稲田商が62語、明治商が54語。明治商のほうが、少ない本文で次々に判断させます。

一方で、解答欄1つに使える時間は早稲田商が77秒、明治商が92秒です。早稲田商は「多い本文を速く読み切る」試験、明治商は「短い本文から素早く根拠を拾う」試験です。同じ「速さ」でも中身が違うので、明治商の演習で早稲田商の分量に慣れることはできません。

慶應義塾大学経済学部と比べる

読む量は早稲田商のほうが多いです(4,341語 対 2,351語)。

ただし慶應経済のほうが単語は難しいです。単語集に載っていないレベルの語が、1つの長文につき40語前後出てきます。しかも注が付きません。早稲田商は語数で殴ってきますが、慶應経済は語彙で殴ってきます。負荷の種類が違います。

そして決定的な違いが2つあります。慶應経済には、日本語の論評と英文を突き合わせる大問と、自由英作文があります。早稲田商にはどちらもありません。

この2つは、早稲田商の対策では1問も準備できません。併願するなら専用の時間を取ってください。

次に読むなら、この1本

明治大学商学部 英語の傾向と対策

早稲田商と明治商は、マークの主力が同じで記述だけが別物です。併願するなら、どこを別練習に回すかを先に決めておくと、夏以降の時間の使い方が変わります。


この記事は2026年度入試までの出題を分析しています。最終更新: 2026年8月

出典

  1. 試験時間90分。早稲田予備校「2023年度 早稲田大学 商学部 英語 講評」(出題形式: マーク・記述併用/試験時間90分)https://www.waseyobi.jp/data/waseda/2023reguluar/sh/2023_eng_k.pdf ↩
  2. 配点・出題範囲。旺文社 大学受験パスナビ「早稲田大学 商学部 一般選抜 入試科目」https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3190/subject/?facultyID=030 および 早稲田大学商学部「入学試験情報」https://www.waseda.jp/fcom/soc/applicants/admission ↩
  3. 合格最低点(2026年度・大学独自の換算による点数)。旺文社 大学受験パスナビ「早稲田大学 商学部 合格最低点」https://passnavi.obunsha.co.jp/univ/3190/border/?facultyID=030 ↩
  4. 試験日。Benesse マナビジョン「早稲田大学 商学部 学科ごとの入試」https://manabi.benesse.ne.jp/daigaku/school/3325/nyushi/shou/ ↩

二神大輝|埼玉県内の学習塾で取締役・塾長。大学受験と総合型選抜の指導歴10年超。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です